
通り雨のあとで|Ryu
https://note.com/r_sugawara/n/n7c6dff9ffedd
※本作は創作小説です。筆者個人の体験をそのまま記したものではなく、実在の人物・団体・出来事とは関係ありません。 礼子と出会ったのは、私が三十四になった冬だった。 閉鎖的な精神世界の共同体を離れてから、五年ほどが過ぎていた。世の中には戻っていたし、会社にも通っていたし、スーツを着て電車に揺られ、会議でうなずき、週末には洗濯もしていた。生活の形だけを見れば、もう十分に社会復帰している男だった。 けれど、心の中にはまだ空白があった。 いや、空白というより、長いあいだ日が当たらなかった場所、と言った...