
夜の手記 ―あるセラピストの告白|Ryu
https://note.com/r_sugawara/n/n3e8d94e715c5
※本作は創作小説です。筆者個人の体験をそのまま記したものではなく、実在の人物・団体・出来事とは関係ありません。 二十九歳の春、私はこの仕事を始めた。 二十九歳という年齢は、何かを始めるには若すぎず、諦めるには早すぎる、ひどく中途半端な年だと思う。 大学を出て、いくつか仕事を渡り歩き、恋愛らしいことも少しは経験し、社会というものの輪郭だけはわかったつもりになっていた。 だが、自分が何者かは、まだまるでわかっていなかった。 今なら言える。 あの頃の私は、自分の人生に参加していなかった。 昼は会社員...